最近、「選択的夫婦別姓」がメディアで盛んに取り上げられ、「多くの国民が賛成している」といった論調が目立ちます。
ですが、よくよく見るとその“賛成多数”という主張は、調査手法や質問文の誘導によって印象操作的に作られているケースも多いのが実情です。
例えば、「選べた方がよいと思いますか?」と聞かれれば、深く考えずに「はい」と答える人もいるでしょう。
しかしそれは、今すぐ法制度を変えるべきと考えているわけではありません。
では、そのような中で「今、本当に制度を変える必要があるのか?」
この問いに対し、多くの人が無意識に「空気」に流されていないか、立ち止まって考える必要があります。
選択的夫婦別姓は今必要なのか?
選択的夫婦別姓を求める人の声は確かにあります。
しかし、それはあくまで一部の特定の事情を抱える人々であり、日本の圧倒的大多数の夫婦は現行制度で大きな不自由を感じていません。
むしろ、「結婚したら家族は同じ姓である」という価値観は日本に深く根付いており、それによって家庭の一体感や連帯感が自然に形成されている側面もあります。
わずかなニーズのために、大多数が受け入れてきた制度を大きく変更する必要があるのでしょうか?
大多数が不便を感じていないなら、急ぐ理由はなく、それは慎重に考えるべき問題ではないでしょうか。
選択的夫婦別姓とは?
この制度は、結婚後も夫婦それぞれが自分の姓を保持できるようにするものです。
つまり「夫婦が別々の姓を名乗ることが可能になる」という制度です。
「選択的」と言われると自由な印象を受けますが、実際にはその影響は個人だけでなく、戸籍制度や家族制度全体に波及する可能性があります。
それを軽視して、「個人の自由だからいいじゃないか」と制度化するのは、やや安易ではないでしょうか。
選択的夫婦別姓のメリットは?
選択的夫婦別姓のメリットは一部の人にとっての“便利さ”はあります。
よく挙げられるのは以下のようなものです:
- 結婚しても姓を変えずに済む
- 書類や職場での旧姓使用の手間が省ける
- キャリアや実績との一貫性が保てる
たしかに、こうしたニーズは存在するでしょう。
ですが、これらの課題の場合、現行制度の中でも“通称使用”など柔軟な対応で十分対処可能です。
また、姓を変更したことによってキャリアが台無しになるという極端な例は、実際にはそれほどありません。
選択的夫婦別姓のデメリットは?
選択的夫婦別姓を慎重に考えるべき理由としてのデメリットは以下のことなどが挙げられます。
- 家族の一体感が損なわれる可能性
- 子どもの姓の扱いが複雑になる
- 戸籍制度の根本見直しが必要
- 社会の理解と準備が整っていない
家族の一体感が損なわれる可能性
夫婦・親子で名字が異なると、第三者からの理解や誤解、また子ども自身の混乱を招く恐れがあります。
日本では「同じ姓=家族」という文化的感覚が広く共有されており、それを制度的に崩すことには慎重になるべきです。
子どもの姓の扱いが複雑になる
夫婦が別姓を選んだ場合、子どもはどちらの姓を名乗るのか。
兄弟姉妹で姓が異なる場合の行政手続きや学校生活、社会的影響など、家庭内での混乱を生む懸念が拭えません。
戸籍制度の根本見直しが必要
現在の戸籍は「一家に一姓」が原則です。選択的夫婦別姓を導入するには、戸籍法そのものの大規模な見直しが必要であり、社会全体への制度的影響とコストは極めて大きいと予想されます。
社会の理解と準備が整っていない
姓の違う家族を受け入れる社会的素地は、まだ十分とは言えません。
制度だけが先行しても、周囲の理解が追いつかなければ逆に当事者が孤立する可能性もあります。
選択的夫婦別姓のメディアが作る“空気”に流されず、冷静に考えるべき
ここまで見てきた通り、選択的夫婦別姓には確かに一部の利便性があります。
しかし、だからといって「制度を変えるべき」とは必ずしもなりません。
- 「不便を感じている人がいるから」という理由だけで大きな制度を変えるのは危険
- 多くの人にとって、現行制度は“特に困らない”どころか“自然”な仕組みである
- 「今変えないといけない理由」がはっきりしていない
メディアが盛んに報道している「賛成多数」という印象は、実際の国民感情とは乖離があることも少なくありません。
まとめ
選択的夫婦別姓は拙速な制度変更よりも、まずは社会的合意を得なければならないのではないでしょうか。
選択的夫婦別姓は、個人の問題に見えて、実は家族の在り方・社会の土台に関わるテーマです。
「自由に選べるからいいじゃないか」という簡単な話ではなく、
その制度によって失われるかもしれない文化・秩序・一体感といった目に見えにくい価値にも目を向けるべきです。
制度変更は、国民の合意と納得が前提であるべきです。
ですので今すぐ導入すべき理由が明確でない以上、現段階での法改正には慎重であるべきと考えます。
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